"REPORT" & "COMMENT"

 

7泊9日のパリ出展旅行。たくさんの出逢いがありました。写真や動画を交えてお届けします。
(写真をクリックしますと、大きくなります)

 

また、フランス国内でも有数の美術団体の方から評論をいただいています。こちらもどうぞ。

評論家インタビュー内容はこちら(ページ最下部に移動します)

JAPAN EXPO in Paris 開催レポート動画 (© BIKEN INTERNATIONAL co., Ltd.)

出発直前~現地到着 (2015.6.30-7.1)

現地時間7月2日からの出展に合わせ、東京・成田を6月30日に出発しました。

仲間がくれた御守を衣装(作務衣)に縫い付け、たっぷりの和紙と応援グッズを背に、現地に2時間遅れで到着。

旅の醍醐味?他にも様々なトラブルに巻き込まれ、それでも解決して逞しくなって行きながら、生命力を高めていくような出だしでした。


予約したホテルが大当たり。翌朝、たっぷりの野菜・チーズ・パン・ハム・燻製品でお腹を満たし、「フランスは美味しい!」と、乾いた青空の広がりにも豊かさを見い出しました。

出展準備 (2015.7.1 AM11:00-PM10:00)

今回の出展では、ブース出展の他、アートステージ出演も決まっておりましたので、昼からリハーサル。ところが…電車に乗り間違えて特急列車で遠くまで飛ばされてしまうトラブルで、1時間近く電車から出られず。当然、大幅遅刻の会場入りでした。大いに焦りましたが、お陰様で都市部とは違うフランスの町並みを車窓から楽しめましたので、これも良い経験でした。


フランスの気温は熱波の影響で連日40度近く。空調の効いていない会場で熱中症になりながら、神聖な場を創り上げます。自分の作品9点と、国内で実施しました平和を願う書ワークショップに参加いただいた皆さんの書を展示。自分達で納得の行くように何時間も掛けて、完成させました。

出展前夜 (2015.7.1 PM10:00-AM1:00)

出展前夜に限らず、毎晩、プロデューサー役を引き受けてくれた仲間と共に現地の美味しい食事を探し当て…一日の頑張りに癒しと自信を与えて、次の日への戦略を立てて行きます。思えば、この数時間も実に貴重な体験でした。


夜10時になっても沈まない太陽、緩やかな時間の流れの中で仲間と語り合う…フランスの目に見えない豊かさに触れたように思います。


今回の出展から「かんざし」も付けて望むことにしました。日本の仲間がくれた扇子も、武器のひとつです。枕元に置いて、最高に輝くことに腹を括り、眠りにつきます。

JAPAN EXPO開幕 (2015.7.2 AM10:00-)

遂に1年越しの夢が叶う時…ジャパンエキスポ 2015の開幕です。4日間で24万人を集めたこのイベント、日本のあらゆる文化が集まるヨーロッパ最大のお祭りです。シャルルドゴール空港から程近い、ノールヴィルパント国際展示場は、朝10時の時点で会場はぎゅうぎゅう詰め。個人で活動する芸術家から、地方自治体、ゲーム業界の大企業まで幅広い枠組みで出展されます。

 

私は日本の伝統芸術に特化した「WABI-SABI」パビリオン内にて、出展をさせていただきました。日本の精神性を味わえるとあって、根強いファン(リピーター)がいるパビリオンです。最初のお客様は、なんとフランスで初の黒帯を取得されたという柔道家の方が来て下さいました。4日間大変お世話になった通訳の方を交えて、「円相」の書を前に、魂の完全さ・純粋さについて語らう豊かな時間を過ごさせていただきました。この方との出逢いに、不思議と『この出展は絶対に成功する!』と勇気をいただき、心身の限界まで突っ走ることができたように思います。

ブース出展

ブース出展においては、自分の作品の展示販売の他、一緒に筆を持って文字を描くワークショップ、お客様からのリクエストに応えて書を描く即興販売を実施。4日間で150人以上の方と交流をさせていただきました。


書を始めたい!と作務衣で現れた17歳の少年、大好きな彼女に名前を描いて欲しいという若い男性、大切な人への応援を届けたいと訴える人、日本のアニメが大好きで一緒に遊んだ若い人達、日本のドキュメンタリーを創りたいという夢を語る写真家の方…沢山の人との人生に触れました。

そこには純粋な生き様があり、「感じる」ままに生きたという渇望を露わにしてくださるみなさんの美しさが滲み出ていました。そんなみなさんの心を感じれば、魂剥き出しのままに書に打ち込むことが私の使命だと、シンプルに体が反応していくのでした。

「美しいですね」と何度も声を掛けていただき嬉しかったです。帰国して振り返ってみますと、それは、来場するみなさんの心が美しいから…響き合ったから…という現象があったからだと思うのです。

アートステージにて書パフォーマンス (2015.7.4&7.5)

和楽器の楽曲をバックに、約25分間、畳半畳ほどの大きな和紙に、魂の全てをぶつけるパフォーマンス。描いた書はまず、「遊雲驚龍(ゆううんきょうりゅう)」。優雅さ、何物にも囚われない自由さ、そして衝撃の走るようなダイナミックさといった、書の魅力の詰まった言葉です。この言葉を表現しようと挑戦させていただきました。

そして最後は「舞」。人々には決して枠に囚われない、それぞれの個性がある、それを全力で生きて表現し続けることに、いのちの美しさがある…そんな想いを籠めて描き切りました。

 

お客様の多さに、大変驚きました。素晴らしい景色を味わいました。

自分には聴こえませんでしたが、「ブラボー!」「あれが本物だ」という声が挙がっていたそうです。

日本人記者の方も、足を止めて下さったようで、北海道新聞の記事に写真を載せていただきました。


*余談ではありますが、実はブース出展での即興パフォーマンスを、4日間立ちながら(中腰で)全力でやり続けていましたので、腰と足に相当な負担が掛かっていたようです。肩と腰がビキビキ言っていて、パフォーマンス中に激痛が走り苦悶の表情を浮かべていたと思いますが、『もうここで体が壊れてもいい、ここで全力を出さなかったら、なんのためのここまでの挑戦か…』と力を出し尽くしました。

 体を激しく動かしてパフォーマンするうちに、両ひざが床に擦れて血まみれになりましたが、汗だくになりながら一心不乱に描き続けていました。これも勲章。そして基礎体力をつける必要があるなと学びました。

4日間の展示が閉幕 (2015.7.5 PM6:00)

終わってみればあっという間の4日間。時間の許す限り、現地の皆様と交流させていただきました。

「また来年も来るから」「最後に顔だけでもみたいと思って来たよ」名残惜しそうに、閉館時間が過ぎて駆け付けてくださった方々がいました。そんな心豊かなお客様に充実した場を創って頂いた、初の海外出展でした。


全ての来場者が退館されてから、自分のブースを観ると、画材でゴチャゴチャになっていました。一つの達成に辿り着いた充実感を味わうと共に、次にしたいこと…「また皆さんに会う」、そのために自分が積み上げて行くべき課題にも目が向いていました。まだまだ、魅せるための準備、感動していただく努力ができる…そこに気付かせていただけることが、何よりも嬉しいのでした。

オフショット

会期後には、ルーブル美術館とベルサイユ宮殿を観光しました。圧倒的でした。数百年経っても遺る物の完成度の高さに衝撃を受けました。充分な時間があれば、エキスポ中にもご縁をいただきましたパリでの日本文化の発信地「ESPACE JAPON」さんや、今を生きるアーティストが集まる芸術家通り、ステンドグラスが圧倒的なサントシャペル寺院などに足を運んでみたかったところです。それは、また次の機会に、じっくりと味わわせて貰いましょう。


フランスと言えばワインですが、エネルギーを全て出展に注ぎこんでいましたので、最後の晩に一杯だけ飲むことができました。ビールも、合間にほんのグラス一杯だけ…食べる方の文化にも触れられる、ゆとりある滞在の実現を目指します。

評論家インタビュー

パリに拠点を持つ国立劇団の美術史教授、そして、美術専門誌の編集長から、禮生の作品について公式の評論をいただきました。感謝です。

国立劇団コメディ・フランセーズ
美術史教授 エリック・モンサンジョン


凄く美しい作品だ。

一瞬一瞬の信念、感受性…それらを暗示するものが、文字一つ一つに現れている。

美術専門誌「ToTH」編集長
ダミアン・ディオン


伝統的な書でありながら、どこか西洋の抽象画のようであり、アメリカで起こっている抽象主義運動を想わせるようなところもあり、凄く面白い表現だ。

『円相』を扱った作品には、“丸”の示す無限性があり、これも面白い。

作品自体が美しいだけでなく、先生(禮生)自身が作品を創っている動きに全く無駄がなく、技術的な面も高く、観ていて凄く楽しい。

これからもどんどん世界に飛び出して欲しい作家だ。


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